流水・紫雲さんときのこを探して歩いていると、倒木の表面に黄色いにゃ変形菌の変形体が広がっていた。これでひとつの巨大なアメーバ状の細胞で、多数の核を持っている。倒木や落ち葉などの表面を這いながら移動し、バクテリアなどを食べる。そういう意味では動物的。
やがては子実体を形成し、胞子を飛ばす。でも、きのこ(菌類)ではない。
クロラッパタケが群生し、大きなものもあった。「死のトランペット」とも呼ばれるそうだが、欧州では食用として利用される。
ひととおりまわって昼過ぎには集合場所に戻る。昼飯を食ってから同定会。プレジデント先生が解説してくれる。
これはツチナメコの仲間のような。普通、地面から出るイメージだが、枯れ木から発生。
ワカクサタケ。若いときは緑色の粘液で覆われているが、成長したり乾燥するとオレンジの地肌が見える。これはまだ若干、緑が残っている。
今まではここでの観察会は7月中旬に開催されてきた。しかし、最近数年間は梅雨が明けてしばらくたっているので乾燥してきのこがあまり無かった。でも今年は時期が早くなったためか、例年にないほどきのこが集まった。
それでも決して多くはないが、イロガワリの仲間やアンズタケ属など、ここ数年ではないほどの収穫があった。
さらに今年はホウキタケ・ラッパタケの仲間を研究している「ドリンクイーン」や菌学会でアマチュア団体交流会の世話人をしていてベニタケ属に詳しい「ゴードン」、県内の大学に研究室を持っている「ティガー」(いずれも仮称)が参加していたため、特別に解説タイムが設けられた。ふだんのプレジデント先生とはちがう語り口の解説が聞けて貴重な機会だったのでは。
特に「ティガー」に関して、プレジデントからきのこオタクだった中学生が成長して今では大学の先生と紹介されていたのが傑作だった。
見た目はアミスギタケ、でも根本が異様に長く伸びている。なんでも、発見者によると、落ち葉が堆積しているような場所にあったという。アミスギタケは普通、切り株などから出ているものだが、たまたま地面の下に埋もれた木材から出たのか、それとも別ものか?
前日に水元公園で採取したウラベニガサやタマゴテングタケモドキも別のコーナーに並べられたが、この大きなヤマドリタケモドキもだれかがどっかでとってきたもの。すでにかびて古いものだが。
ヒロハシデチチタケはシデの木と菌根を形成するチチタケ属。2つとも同じようにも見えるが、右側は別物。ヒロハシデチチタケは灰色でカサ表面には環紋がある。
ヒダはオレンジっぽくて疎で厚みがあり、肉は傷つくと乳液を出す。
午後3時くらいに観察会が終わって、佐倉駅前のファミレスで抹茶パフェを食べた。
そしてまた京成本線で東京へ戻って夜のバスで帰宅の途についた。
採集紀行伝 東国演義 漢